いま仮想通貨は2017年以来の盛り上がりを見せていて、本格的な値上がりに向けた力強さを感じます。その要因は、金融機関や機関投資家などの大口の投資家の相次ぐ参入といわれています。
仮想通貨の未来はだれにもわかりませんが、いまのうちに投資を始めておきたいと考えるひとも多いのではないでしょうか。
本記事では、初心者向けを含めた「仮想通貨の5種類の投資方法」について解説いたします。
本記事の要約
- 裁量取引は、税制面やリスクを総合的に考慮すると利益を出し続けることは難しくリスクが高い。初心者にはおすすめできない。
- システムトレードは、安定して利益を出せる「取引ルール」を見つけることが全てだが実現は難しい。初心者にはおすすめできない。
- 投資信託・ETFは、現時点で「個人投資家」が購入できる商品はない。
- ガチホは、だれでもすぐに始められるので、難易度は低く、破綻リスクはほぼゼロ。初心者に超おすすめ。
- 積み立ては、自動化サービスを利用すればだれにでもすぐに始められる。リスクも低いので、初心者には超おすすめ。
- レンディングは、サービスを利用すればだれでもすぐにできる。取引所の破綻リスクが理解できれば、初心者にもおすすめ。
タップできる目次
投資方法1.裁量取引
裁量取引とは、「投資環境やテクニカル分析をもとに自分の判断で売買する」取引手法です。
仮想通貨を売り・買いする判断基準には主に以下のようなものがあります。
- 価格のチャート形状をもとに将来の価格を予測する(テクニカル)
- 投資環境や関連するニュースをもとに将来の価格を予測する(ファンダメンタル)
- 投資家の心理に働くさまざまな要素(損失を現実にしたくない・利益があるうちに手仕舞いしたい)
特徴と投資の難易度
個人投資家にとって、もっともオーソドックスな投資方法ではありますが、
残念ながら、「ほとんどの投資家が大きな損失を出して、市場から退場する」のが特徴です。
投資判断するためには、チャートのテクニカル分析や市場のファンダメンタル分析に関する知識が必要になるので、投資の難易度は高いです。
自分なりに何らかの根拠に基づいて売買をしているうちはまだ良いですが、心理的な誘惑に従って売買をするようになると最悪です。小さな損失のうちに損切りをできずに致命傷を負ったり、その逆に小さな利益を確実なものにする誘惑にかられて大きな利益をのがします。
仮想通貨にもFXや信用取引がありますので、自己資金を証拠金として預けることで、数倍の金額の取引(レバレッジ取引)をすることができます。ただでさえ値動き(ボラティリティ)が大きいと言われている仮想通貨でレバレッジをかけると、短期間で資産が数百倍になる可能性もありますが、すべてを失う可能性も充分にあります。
適切なリスクコントロールができなければ、一時的に数億円単位の莫大な利益をだせたとしても、遅かれ早かれ将来破産する運命にあります。
裁量取引で人生が詰むパターンを具体例で解説
裁量取引では、税金に気をつけないとウッカリ人生が詰みかねません。その理由についてご説明します。
裁量取引は運が良ければ大きく利益が出ることがあります。このときに注意が必要なのが税金です。仮想通貨で得た利益は雑所得に分類されますので、所得税と住民税あわせて最大で約55%にもなります。
仮想通貨の利益は雑所得なので、所得税と住民税で最大約55%にもなる。
仮想通貨で人生が詰むという例
ひとつ例をあげてご説明します。
2020年、あなたは仮想通貨で1億円の利益を確定して、2021年に支払う税額はざっくり約5000万円になったとします。
信じられないほど大きく勝ってしまうと、自分に才能があると勘違いしたり、そのまま利益が上がり続けると思い込むのが人間の心理であり、最も危険なところです。おそらく数倍のレバレッジでの高額な取引にも慣れている(マヒしている)はずです。
調子に乗ったあなたは、運悪く年明けに大きく損失を出して「元金と利益のほとんど」を失ってしまいます。
この時点でトータルの運用成績はマイナスになっているのに、前年の利益に対して発生している5000万円の税金は消えません。当然ながら支払うお金もありません。
もしそうなったら、自己破産すればいいやと考えるかもしれませんが、考えが甘すぎます。自己破産をしても税金の支払い義務は免除されないからです。
利益を失っても税金は消えない。自己破産しても税金は消えない。
「そんな事あるかよ!」と思うかもしれませんが、これは実際に2017年の仮想通貨バブルと2018年の暴落で現実に多くのひとが陥った不幸な話です。
仮想通貨の税制について詳しくは、クラウド会計ソフトfreeeの公式ページをご参照ください。
以上のように、税制面や値動きの大きさなどを総合的に考慮すると、仮想通貨の裁量取引で利益を出し続けることは相当に困難であり、難易度が高いといえます。
裁量取引は、税制面やリスクを総合的に考慮すると利益を出し続けることは難しくリスクが高い。初心者にはおすすめできない。
投資方法2.システムトレード(アービトラージ含む)
システムトレードとは、「主観を交えずに、過去や現在の値動きなどから機械的に取引を行う」取引手法です。
ポイントは「機械的に取引する」という点にあります。裁量取引では少なからず感情や判断の余地がありますが、システムトレードは事前に決めたルールにのみ従うという点が異なります。
たとえば、「ある仮想通貨の値動きが3日連続で上がったら買い、3日連続で下がったら売り」、といったルールを決めたら、そのルールを厳密に守って取引します。
売買の操作自体は、ソフトウェアを使って自動化しても、手動で売買しても構いません。
特徴と投資の難易度
事前に決めたルールにのみ従うので、投資家の感情や判断が入り込む余地がないのが特徴です。
取引のルールは、過去の値動きのデータをもとに検証(バックテスト)して決めたり、現在の値動きのデータにのみ従って取引をする方法もあります。
利益が出るかどうかは「取引ルール」にかかっています。
しかし、安定して利益がでる取引ルールを見つけることは容易ではありませんので、難易度が高い方法といえます。また、自動売買をするソフトを自分で開発するためには、プログラミングの知識が必要になります。
ここでは、システムトレードのひとつであるアービトラージ(裁定取引)についてご説明します。
低リスクな取引手法アービトラージ(裁定取引)とは?
システムトレードも売買ルールによっては、リスクが大きくなることもありますが、アービトラージであれば低リスクで取引することができます。
仮想通貨は、取引所を介して購入することができますが、じつは取引所によって取引価格に差があります。
アービトラージは、取引所間の「サヤ(価格差)を抜く」ことで利益を得る取引手法です。
たとえば、「取引所Aで100万円で買ったビットコイン」を「取引所Bで101万円で売却すること」で、その差額1万円を利益にするということができます。
「そんなうまい話あるわけないだろ」と考えるかもしれませんが、現実にそういった「裁定機会」は発生します。
ただし、実際に価格差が発生すると裁定取引をするひとがいるので、サヤはすぐに無くなってしまいます。現実的には、手動でアービトラージをすることは難しいので、ふつうはソフトウェアを利用した自動売買でおこないます。
※ごく稀に数時間〜数日間もサヤが広がっているタイミングもあり、手動取引でも利益を出せることもあります。
▼アービトラージのメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
システムトレードは、安定して利益を出せる「取引ルール」を見つけることが全てだが実現は難しい。初心者にはおすすめできない。
投資方法3.投資信託・ETF
「投資信託」とは、「投資家から集めたお金をまとめて、運用の専門家が運用する金融商品」です。
つまり、「仮想通貨の投資信託」は、そのお金の一部またはすべてを仮想通貨に投資する投資信託ということになります。
仮想通貨への投資ができる投資信託は既にありますが、機関投資家や特定の投資家向けのものばかりで、残念ながら「個人の投資家が購入できる投資信託」は現時点ではありません。
日本ではSBIが仮想通貨ファンドの立ち上げを発表していますが、2021年に延期されました。SBIや楽天などで個人投資家が投資できるようになるまでには、しばらく時間がかかりそうです。
年利数十パーセントの配当を謳うビットコイン投資信託を見かけたことがありますが、昔からある詐欺なので騙されないよう注意してください。絶対にそんなに美味いはなしはありません。
本記事を執筆時点では、個人投資家が購入可能なビットコイン投資信託はありません。
ビットコインなどの仮想通貨に投資したいのであれば、仮想通貨の取引所に口座を開設して取引することができます。
個人でビットコインを購入するほうが、投資信託でビットコインに投資するよりも手数料の面でも有利になるのでおすすめです。
なぜなら、ビットコイン投資信託であれば毎年数%の信託報酬(手数料)かかってしまいますが、個人で購入・保持するなら手数料はゼロです。
次でご説明するような「ガチホ」や「積み立て」はすべての個人投資家におすすめの方法です。
投資方法4.ガチホ
ガチホという言葉の由来は「ガッチリとホールドする」から来ています。取引手法は由来の通り超がつくほど単純明快です。
いちど仮想通貨を購入したら、値上がりするまで何ヶ月でも何年でも売らずに持ち続けるという戦略です。途中で予想外の値動きをしたからといって、売り買いすることはありません。
特徴と投資の難易度
ガチホ戦略は、仮想通貨を長期保有する前提で購入するのが特徴です。
ですから、仮想通貨の将来性を見込んでいて、長期的な視点で値上がりが期待できなければ取れない戦略です。
ビットコインのように発行数量が決まっているものは、希少性が認められれば価格が高騰していくことが予想されます。これは金(ゴールド)と同じ性質であるといえます。
ガチホは、裁量取引のように知識や技術が不要で、システムトレードのようなプログラム開発も不要です。
手元にある余剰資金でビットコインなどの仮想通貨を購入し、ひたすら持ち続けるだけですから、だれでもすぐに始めることができます。難易度は低く、破綻するリスクも低い取引手法であるといえます。
ガチホは、だれでもすぐに始められるので、難易度は低く、破綻リスクはほぼゼロ。初心者に超おすすめ。
投資方法5.積み立て
積み立ては「一定の間隔で一定の金額で同じ商品に投資し続けること」をさします。たとえば、毎月1万円ずつビットコインを買い続けるという方法です。
特徴と投資の難易度
積み立ての本質は、ガチホ戦略と同じです。ガチホを毎月繰り返す方法であるといえます。そのため基本的な特長はガチホと同じです。
ガチホ戦略にはない積み立て投資の特徴としては、投資するタイミングを時間的に分散する「ドルコスト平均法」を取り入れているという点です。
ドルコスト平均法でも一括投資でも、論理的には実質的なリスクはほぼ同じですが、ドルコスト平均法によって精神的に安心できるなら、採用する価値はあります。
▼ドルコスト平均法についてはこちらで解説しています。
毎月ビットコインなどの仮想通貨を買って持ち続けるだけですから、だれでもすぐに始めることができます。難易度は低く、破綻するリスクも低い取引手法であるといえます。
仮想通貨の積み立てサービスがある取引所はコインチェックとGMOコインだけ!まだ間に合います!
積み立てを確実に継続するためのコツ
積み立てるときの仮想通貨の取引は手動でも自動でも構いませんが、積み立てサービスを利用して自動化するのが得策です。
なぜなら、積み立ての売買を手動でおこなうと、積み立てを続けるための意思決定を毎月する必要があるからです。積み立て購入のたびに裁量取引をしたくなる誘惑に負けてしまって、大半のひとは1年も続かないでしょう。
積み立てを継続するために重要なのは、「価格を気にしない」「積み立てを自動化する」ことです。ベストなのは、積み立てていること自体を忘れるくらい放っておけることです。
積み立ての始め方
現時点では、取引所のCoincheck(コインチェック)とGMOコインが提供している「自動積み立てサービス」が最良の選択肢です。
積み立ては、自動化サービスを利用すればだれにでもすぐに始められる。リスクも低いので、初心者には超おすすめ。
仮想通貨の積み立てサービスがある取引所はコインチェックとGMOコインだけ!まだ間に合います!
▼積み立ての詳しいご説明は、以下の記事をご覧ください。
投資方法6.レンディング
レンディングとは、「あなたが保有している仮想通貨を仮想通貨取引所に貸し出すことで、利息を受け取る」投資方法です。
預けることができる期間や量によって、最大で年利5%くらいで貸し出すことができます。
特徴と投資の難易度
仮想通貨自体の「値上がり益」に加えて、「年利数%の利息」をダブルで狙っていこうという欲張りなところが特徴です。
レンディングは、取引所のサービスを利用するだけなので、難易度が低くだれでもすぐに始めることができます。
ただし、取引所が破綻するようなことがあると、預けている仮想通貨は保証されませんので注意が必要です。信頼性のある大手の取引所を利用するか、いつでも解約ができるサービスを選ぶとよいでしょう。
レンディングの始め方
レンディングサービスを展開している国内取引所としては、Coincheck(コインチェック)、GMOコイン、bitbank(ビットバンク)などがあります。
おすすめの取引所は、Coincheck(コインチェック)とGMOコインです。どちらにも良いところがあるので、自分の好みに応じて選ぶことができます。
利息の高さを重視するなら Coincheck(コインチェック)、取引所の信頼性や途中解約ができることを重視するならGMOコインがおすすめです。
▼取引所ごとのレンディングサービスの比較は、こちらの記事をご覧ください。
レンディングはサービスを利用すれば、だれでもすぐにできる。取引所の破綻リスクが理解できれば、初心者にもおすすめ。
まとめ
本記事では、初心者向けを含めた「仮想通貨の5種類の投資方法」についてご説明しました。
難易度が高い方法は、ほとんどの投資家が損失を出して撤退することと同じ意味です。充分にご注意ください。
- 裁量取引は、税制面やリスクを総合的に考慮すると利益を出し続けることは難しくリスクが高い。初心者にはおすすめできない。
- システムトレードは、安定して利益を出せる「取引ルール」を見つけることが全てだが実現は難しい。初心者にはおすすめできない。
- 投資信託・ETFは、現時点で「個人投資家」が購入できる商品はない。
- ガチホは、だれでもすぐに始められるので、難易度は低く、破綻リスクはほぼゼロ。初心者に超おすすめ。
- 積み立ては、自動化サービスを利用すればだれにでもすぐに始められる。リスクも低いので、初心者には超おすすめ。
- レンディングは、サービスを利用すればだれでもすぐにできる。取引所の破綻リスクが理解できれば、初心者にもおすすめ。