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リスク分散は気休め?9割の人が勘違いしているドルコスト平均法の時間分散の効果!一括投資と比較して解説

資産運用や投資に興味があれば、ドルコスト平均法についてはご存知でしょう。

ドルコスト平均法のメリットとしてよく言われるのが、一括投資に比べて「時間を分散して投資するのでリスクを分散する効果がある」というもの。

結論からいうとこれは正しくありませんし、投資として非合理的な選択です。

本記事では、世間の9割のが勘違いしているドルコスト平均法について一括投資との違いを解説します。

本記事の要点

  • ドルコスト平均法にはリスク分散効果はない
  • 一括投資の方が常に合理的な選択である
  • 積み立て投資は、一括投資の連続なのでOK
  • 分散するなら時間ではなくて投資対象で分散するべき

ドルコスト平均法と一括投資の違い

はじめに、「一括投資」と「ドルコスト平均法」の違いについて確認しておきましょう。

具体的にイメージするために、あなたの手元に「リスクをとって運用しても良い100万円の投資資金」があると想像してください。

たとえば、「宝くじで大金が当たった」とか、「親の遺産を受け取った」といった場合を想像していただければOKです!

一括投資の場合は、リスク運用できる資金100万円を一気に全額投資に回すという方法です。シンプルですが、人によっては「全額をいきなり投資に回して大丈夫?」なんて不安になるかもしれません。

一方のドルコスト平均法は、一定の金額ずつ小分けにして、時間を分散して投資し続ける方法です。投資商品の価格が低いときに購入量が多くなり、反対に商品の価格が高いときには購入量が少なくなります。

マネー雑誌や金融のプロが「リスク分散効果がある」と謳っているのはこの部分です。

これって本当だろうか?というはなしです。

「一括投資」は資金を始めに一括で投資する方法、「ドルコスト平均法」は資金を分割して投資する方法

金融における「リスク」とは「危険」ではなく「リターンの不確実性」を意味する

リスクという英語を直訳すると「危険」となるので勘違いされがちですが、金融におけるリスクは「リターンの不確実性」を意味しています。

リターンの不確実性とは「標準偏差」のことで、「結果のバラツキ具合」と言えばイメージしやすいかもしれません。。

良い金融商品とは「期待できるリターンが高いこと」は当然として、なおかつ「リスク(不確実性・バラツキ)が小さいもの」ということになります。

もし、ドルコスト平均法にリスク分散効果があるならば、期待リターンを維持しつつ不確実性が平準化されなくてはなりません。

ちにみに、期待リターンを犠牲にしてよいのであれば、そもそも投資しなければリスクゼロになります。リスク分散は、リターンを犠牲にしないことが基本です。

「リスク=結果のバラツキ具合」ということに注意しよう!

ドルコスト平均法と一括投資で、試しにシミュレーションしてみよう

この2つの投資方法について、試算運用のシミュレーションをしてみましょう。

シミュレーションの前提

シミュレーションをするにあたって、以下のように前提を決めておきます。

運用資金     :100万円
運用期間     :10年
ドルコスト平均法 :年10万円
期待リターン   :年利5%
暴落時リターン  :年利ー20%

ただし、運用期間10年で暴落は起きないかもしれないし、起きるとしても10年に1回のみとする。

上の前提条件について、補足説明します。

リスクを取って運用してもよい資金を100万円として、ドルコスト平均法で年10万円ずつにわけて投資する場合と、一括で資産運用に回す場合とを比較します。

期待リターンは、通常年利5%としますが、暴落時には−20%になるものとします。ただし、暴落は起きないかもしれませんし、起きたとしても10年に1回までとして、タイミングは誰にもわかりません。

シミュレーションでは、ドルコスト平均法と一括投資について、暴落が起きないパターン、暴落が運用1年目に起きるパターン、2年目に起きるパターン、・・・10年目に起きるパターンの計11通りのパターンについてリターンを試算します。

それでは結果を見てみましょう。

ドルコスト平均法の試算結果

まずは、試算結果をご覧ください。

▶この表は右にスライドできます。

暴落なし1年目に暴落2年目に暴落3年目に暴落4年目に暴落5年目に暴落6年目に暴落7年目に暴落8年目に暴落9年目に暴落10年目に暴落
運用0年後1010101010101010101010
運用1年後21 18 21 21 21 21 21 21 21 21 21 
運用2年後32 29 26 32 32 32 32 32 32 32 32 
運用3年後43 40 38 35 43 43 43 43 43 43 43 
運用4年後55 52 50 47 44 55 55 55 55 55 55 
運用5年後68 65 62 59 57 54 68 68 68 68 68 
運用6年後81 78 75 72 70 67 64 81 81 81 81 
運用7年後95 92 89 86 83 80 78 75 95 95 95 
運用8年後110 107 103 100 97 94 92 89 86 110 110 
運用9年後126 122 119 115 112 109 106 103 101 98 126 
運用10年後142 138 134 131 128 124 121 119 116 113 111 

上の表を補足説明します。

暴落が起きない場合】

10年後に142万円に増えました。素直に嬉しい、バンバンザイですね。

【暴落が起きる場合は】

暴落タイミングが遅いほどダメージが大きいので、10年後のリターンが少なくなることがわかります。

一括投資の試算結果

下の試算結果をご覧ください。

▶この表は右にスライドできます。

暴落なし1年目に暴落2年目に暴落3年目に暴落4年目に暴落5年目に暴落6年目に暴落7年目に暴落8年目に暴落9年目に暴落10年目に暴落
運用0年後100100100100100100100100100100100
運用1年後105 80 105 105 105 105 105 105 105 105 105 
運用2年後110 84 84 110 110 110 110 110 110 110 110 
運用3年後116 88 88 88 116 116 116 116 116 116 116 
運用4年後122 93 93 93 93 122 122 122 122 122 122 
運用5年後128 97 97 97 97 97 128 128 128 128 128 
運用6年後134 102 102 102 102 102 102 134 134 134 134 
運用7年後141 107 107 107 107 107 107 107 141 141 141 
運用8年後148 113 113 113 113 113 113 113 113 148 148 
運用9年後155 118 118 118 118 118 118 118 118 118 155 
運用10年後163 124 124 124 124 124 124 124 124 124 124 

【暴落が起きない場合】

10年後に163万円に増えました。最高ですね。

【暴落が起きる場合】

暴落タイミングに関係なく10年後には一定のリターンになっています。

つまり一括投資すれば、暴落タイミングがどうとか全く気にする意味がないわけです。

ドルコスト平均法と一括投資の結果の違いを考察

ごくシンプルなシミュレーションでしたが、いくつか分かったことがあります。

分かったこと① ドルコスト平均法は機会損失

10年間で暴落が起きなかったときは、一括投資の方が圧倒的にパフォーマンスが良いです。

その理由はかんたん、ドルコスト平均法は、機会損失をしているからです。

長い目でみれば期待リターンがプラスならば、少しでも早く運用資金を全額投資に回したほうがリターンが大きくなるのは当たり前です。

分かったこと② リスク分散効果はない、ただの気休め

多くの金融のプロやファイナンシャルプランナーが、「ドルコスト平均法にはリスクを分散する効果がある」と言っていますが、試算表を見ても同じことが言えるでしょうか?

本当にリスクを分散できているでしょうか?

ドルコスト平均法の場合は、暴落が来るタイミング次第で10年後の結果が大きく違いますので、いわば暴落のタイミングに賭けたギャンブルです。

暴落のタイミングは誰にもわからない!

一括投資の場合は、「いつ暴落しても10年後の期待リターンが同じ」になります。いつか来るであろう暴落のタイミングを気にしても仕方ないので、ある意味では安心して投資できるのではないでしょうか。

ついでに言えば、10年後にすべての運用資金を投資に回しきった状態になると、ドルコストも一括もリスクは同じになります。なぜなら、資金全額を等しいリスクに晒しているからです。

ドルコスト平均法というのは、リスクに対して怯えるあまり投資するタイミングを遅らせているにすぎません。

ドルコスト平均法は一括投資に比べて、非合理的な投資手法です。

なぜ金融のプロはドルコスト平均法をすすめるのか?

金融のプロがドルコスト平均法を勧めるのはなぜでしょうか?

わたしの考えるところでは、理由は2つ考えられます。

  • プロなのにドルコスト平均法の本質を理解していない
  • 本質を理解しているが、投資商品を売るためにウソをついている

前者か後者かは、ドルコスト平均法を勧める媒体によって違うでしょう。

たとえば、どこぞのファイナンシャルプランナーやマネー雑誌の場合は前者が多いでしょう。単なる無知です。よく考えずに間違った情報を拡散するのは、とても罪深い行為です。

金融のプロの中には後者もたくさん居るでしょう。むしろコチラの方が個人的には好感ができます。商品を売ることがセールスマンの使命だからです。

「氾濫する情報から正しい情報を選択する能力=情報リテラシー」が重要

ちなみに、金融のプロの中でドルコスト平均法についてきちんと説明しているのは、私の知る限りでは楽天証券の山崎元さんだけです。

▼山崎元さんの著書は分かりやすくて勉強になります

ドルコスト平均法的な買い方をする「積み立て投資」はダメな方法なのか?

するどい読者であれば、「ドルコスト平均法が合理的でないなら、積み立て投資もダメなのか」と考えるかもしれません。

結論からいえば、積み立て投資は良い投資方法です。

なぜなら、積み立て投資は、そのときにリスク運用できる全額を一括で投資する方法からです。一括投資の連続だと考えても良いでしょう。

運用資金ができたタイミングですかさず投資する積み立て投資は、むしろ良い選択だと言えます。

ダメなのは「リスクをとってもいいと思える運用資金があるのに、ビビって手元においておく」ということになります。

積み立て投資は、一括投資の連続だからOK!

リスクを分散するなら「時間で分散」ではなく「投資対象で分散」するべき

以上のように、「時間をずらして投資する方法にはリスクを分散する効果はない」ことがわかります。

それでは、どうやってリスクを分散すればいいか?

正しいリスク分散は、運用資金を「リスクとリターンが異なる投資対象に分散する」という方法です。

どのような投資対象にどれだけ分散して投資するかという割合のことを「アセットアロケーション」といいます。

自分の好みや考え方にあったアセットアロケーションを決めることが大事になります。

本当の意味でリスク分散するなら、他の投資商品を組み合わせて分散をすべき!

▼アセットアロケーションの決め方についてはコチラの記事をご覧ください。

参考になる研究論文

本記事よりも、より精密にシミュレーションしている論文がありますので、ご紹介しておきます。

「ドルコスト平均法と一括投資のシミュレーションによる比較分析」

以下、考察より引用。

一括投資の場合、初期に全てを投資するため、機会損失が発生しない。そして、初期に投資するリスクについては、投資量を調整することで自分好みに抑えることができる。投資回数を増やすと、機会損失が発生するため、それよりも優れた一括投資が必ず存在する。これは投資回数を多くするほど顕著に現れている。つまり、投資回数を増やすよりも投資量を減らして一括投資するほうがどんな場合でも優れていることが明らかになった。

この引用を分かりやすく言うと、「一括投資は機会損失が発生しないので、分割投資よりも必ず有利になる。リスクを小さくしたいなら、一括投資の投資額を減らす方がマシである。」ということです。

まとめ

本記事では、ドルコスト平均法でよく言われている「リスク分散効果」のウソについてご説明しました。

あなたの大切な資産運用をするためにも、ウソや間違った情報に惑わされない金融リテラシーを身につけましょう。

  • ドルコスト平均法にはリスク分散効果はない
  • 一括投資の方が常に合理的な選択である
  • 積み立て投資は、一括投資の連続なのでOK
  • 分散するなら時間ではなくて投資対象で分散するべき

▼ドルコスト平均法の出口戦略については、こちらの記事をご覧ください。