自分の資産を運用・管理するために法人を設立したあとにまずやることとして、法人の銀行口座の開設があります。
個人の銀行口座の開設ならば簡単なのですが、法人口座となると簡単にはいきません。
ここ数年は、法人での口座開設の審査が非常に厳しいのが現状で、申し込んだ全ての銀行の審査で落とされたという話はネットを調べるといくらでもでてきます。
特に資産管理会社のような「ビジネスの実態が曖昧な法人」となると、口座開設のハードルは更に高いものになってきます。
本記事では、ブログ管理人が資産管理法人で銀行口座を開設した経験をもとに、銀行口座を開設するコツについてご説明します。
本記事の対象読者
- 資産管理会社の口座を開設したいけどうまくいかない
- 口座開設する裏技が知りたい
タップできる目次
会社設立から銀行口座開設までの流れと注意点
まずは、法人設立から銀行口座の開設までの流れをざっと確認しておきましょう。
1.会社を設立する
2.銀行の法人口座の開設を申請する
3.銀行が口座開設の審査をする
4.銀行から審査結果の連絡がくる
口座開設に必要な期間
ネット銀行の場合だと、法人口座の開設をインターネットで申請してから口座開設が完了するまで、だいたい2週間くらいかかるのが一般的です。
口座開設の注意点
当然ですが審査に落ちた場合は、口座開設ができません。
しかも、口座開設の審査に落ちても、銀行が理由を教えてくれることは「絶対に」ありません。
ですから、審査に落ちた原因を修正して他の銀行に口座開設の審査に申し込むという改善もできないわけで、これが口座開設の難易度を上げている一因ともいえます。
審査に落ちても理由を教えてくれないから、悪いところを修正してチャレンジすることができない!!
法人口座を申し込むときの提出資料
口座開設の申し込みの際に必要な資料と、銀行の審査の基準についてご説明します。
しかし、銀行の審査基準は明らかにされていませんので、あくまで私が審査を受けてみた経験をもとに推測したものになります。
提出資料はどんなものが必要か?
銀行の法人口座の開設を申し込むと、一般的には以下のような資料の提出を求められます。どの銀行でも大きな違いはありません。
- 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 会社の印鑑証明書
- 法人番号指定通知書、またはそれが確認できる資料
- 代表者・担当者の身分証明書
- 会社の事業内容や実績が確認できる資料
上の5つの資料のうち1~4については事務的に用意できる資料なので問題ありません。
審査の際に問題になるとすれば、5番目に挙げた「会社の事業内容が確認できる資料」です。
事業内容が確認できる資料とは?
わたしがいくつかの銀行に申し込んだところでは、以下のようなものが事業内容の確認資料として認められていました。
- 会社のホームページ
- 会社のサービスや取り扱い製品のパンフレット
- 取引先との契約書・発注書・請求書
- 他社に提示したことのある提案書
上の例を見ると、銀行が想定しているのはこんな法人ということがわかります。
- 何らかの製品を作って販売している
- 何らかのサービスを提供している
しかしながら、口座開設したい法人が資産管理会社のような場合は、ホームページや自社の製品・サービスはありませんし、取引先との契約書や発注書のようなものもありません。
そして、銀行が求める資料の提出をできなければ、口座開設の審査は間違いなく通りません。
口座開設するために最も重要なことは「会社としての信用」
銀行は審査基準を明示していないので、審査基準はわかりません。
しかし、実際に銀行に口座開設の申し込みをしてみるとわかるのですが、銀行が審査しているポイントは「その法人が信用できるかどうか」という1点だと考えられます。
なぜなら、最近の口座開設の審査が厳しくなった背景には、銀行口座が反社会的な勢力(やくざ)や組織的な詐欺や犯罪集団に利用されたり、マネーロンダリングに使われたことがあるからです。
つまり、法人口座を開設するために最も重要なことは、「会社としての信用できることをアピールすること」、これだけです。
ビジネスの内容や実態があいまいな法人は、NGってこと!!信用をアピールするしかないね。
資産管理会社で口座開設をするための方法
資産管理会社の事業内容では口座開設は難しい
資産を管理・運用することを唯一の事業目的として設立した法人だと、株・為替・仮想通貨のような金融商品の売買という事業内容になります。
そういった資産管理法人の事業内容では、銀行の口座開設の審査を通すことは難しいです。
なぜなら銀行側の立場からすると、そのような会社は事業の実態が不明瞭な怪しい会社ですし、実際にFXや仮想通貨に関連した詐欺が横行してきた経緯があるからです。
以上のような理由により、資産管理法人では銀行の口座を開設するのが難しいのが現状です。
資産管理会社の事業内容では、口座開設は難しい。
銀行から信用されるために「事業の実績」を作る
口座開設で銀行の審査に通るためには、法人として銀行から信用される必要があります。
そのために最も有効な方法は、事業の実績を作ることです。
しかし、資産管理が主な目的なのに、口座開設のための事業実績を作るために労力がかかってしまっては、元も子もありません。
あくまでも、労力がかからない、リスクの少ない事業実績をつくることにします。
事業実績を作るステップ
STEP1.定款に収益化のハードルが低い事業を含める
STEP2.事業としての実績を作る
この2つのステップについて、順番にご説明します。
STEP1.定款に収益化のハードルが低い事業を含める
まずはじめに、法人設立時の定款に本命の事業目的とは別の「収益化のハードルが低い事業」を含めておきましょう。
定款とは、法人を設立するときに作成する「会社のルール」をまとめた書類のことです。定款に書いていない事業を行うことはNGなので、できれば法人設立時に事業目的に追加しておきましょう。
実際に事業を行って実績を作ることができれば、その法人は銀行から見るとかなり信用度がアップします。
収益化のハードルが低い事業と言われてもピンと来ないと思いますので、ポイントを挙げてみましょう。
- 低コスト・低リスクであること
- 収益が多い・低いかにかかわらず、収益化が簡単であること
例えば、「インターネット広告事業」や「せどり(転売)」などが収益化のハードルが低い事業と言えます。
STEP2.事業としての実績を作る(例「インターネット広告事業」)
わたしが設立した法人の場合は、事業目的の1番目に「インターネット広告事業」をもってきました。
インターネット広告事業とは、ブログやSNSなどのウェブメディアでコンテンツを発信して集客をしたうえで、広告主からの依頼を受けて広告を載せることで収入を得るような事業のことです。
インターネット広告事業をおこなう場合、たとえば本ブログのようなウェブページを開設して、広告を載せることで収益を得るのがかんたんです。
専用のドメインとレンタルサーバーを用意する必要がありますが、年間で1万円~2万円くらいのコストで済みます。
低コストで始めることができるうえに、自分でコンテンツを作る限り、人件費は0円でできるというのがポイントです。
ブログなどのコンテンツを自分で作成したら、GoogleアドセンスやASPなどの広告主を紹介してくれる仲介業者に登録することで、自分のメディアに広告を載せることが出来るようになり、少ないながらも早い段階で収益が得られるようになります。
このようにして事業の実績を作って銀行に提示することで、口座開設の審査に通る可能性が飛躍的にアップします。
収益が多いか少ないかは関係ない。大事なのは実際に事業として取り組んでいて、その実績が見えること!!
【実例】楽天銀行の法人口座を開設したときのやりとり
実際にわたしは、インターネット広告事業での実績を資料として提出することで、楽天銀行の審査に通りました。
以下のようなやりとりがあって、大体3週間くらいで審査合格のメールを受け取りました。
- インターネットで楽天銀行の法人口座開設を申し込み
- 2週間後くらいに楽天銀行の担当者から電話があり、法人の事業の実績を示すような資料の提出を求められる
- インターネット広告事業の実績として、ASP(広告を仲介する業者)の管理画面を送る
- 1週間後にメールで審査合格の連絡を受ける
ちなみに、広告収入としては1円も振り込まれていない状態だったのですが、以下のような広告掲載の実績を提出したところ、事業実績として認めてもらえました。
収益の過多ではなく、具体的に何か活動していることがわかればよい、ということが言えそうです。
【インターネット広告事業の実績資料の例】
以下は、ASPというインターネット広告を仲介するサービスの管理画面です。

まとめ
本記事では、資産管理法人のような銀行口座の開設が難しい事業の場合に、どのようにすれば銀行の審査に通るかということを書いてみました。
資産管理法人に限らず、口座開設の審査で苦戦している法人の場合には使える方法だと思いますので、諦めずにトライしていただければと思います。
- 銀行の口座を開設するには、法人としての信用が必要
- 法人としての信用を示すには、事業の実績を作ること
- 事業の実績をつくるには、収益化のハードルが低い事業をすること
▼法人決算を自分でやる方法については以下の記事をご覧ください。