初心者が不動産投資を始めるときに興味を持つのが、「区分所有マンション」です。
区分所有マンションは金額も手頃だし、銀行からの融資も引きやすいので、かんたんに始めることができるのが特徴です。おそらくサラリーマンなら多くの人が問題なくローンを組むことができるでしょう。
しかし、区分所有マンションが楽に儲かるなら皆んながやっているはずですよね。現実はそんなに甘くありません。うっかり手を出すと火傷してしまうのも、区分所有マンションというわけです。
本記事では、ブログ管理人が購入した区分所有マンションの2016年5月から現在までの運営レポートをしています。
区分所有マンションを買ってから後悔しないよう、購入する前の参考にしていただければと思います。
この記事でわかること
- 区分所有マンションの運営実績
- 区分所有マンション賃貸の注意点
- 賃貸業に向いている物件の種類
区分所有マンションの運営状況をリアルタイムに公開しているよ!!
タップできる目次
運営レポートする物件の概要
まずは、ブログ管理人が購入した区分マンションの概要からご説明します。
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項目 | 内容 |
---|---|
エリア | 神奈川県横浜市 |
物件種別 | 区分所有マンション、ファミリー向け |
築年数 | 築32年 |
用途 | 不動産賃貸用の物件として購入 |
購入日 | 2016年5月 |
物件価格 | 1040万円 |
ローン | 借入金1040万円、20年、金利3.8% |
ざっとこんな感じの物件です。

いわゆるワンルームではなくファミリー向けの物件なので、50平米以上の広さがあります。
ローンは全額フルローンで、諸費用は現金で用意しました。
購入時の築年数が32年だったので、物件の価格としてはある程度下がりきっていますが、それなりにメンテはされているのでそこまで老朽化はしていません。
2021年2月までの運営状況まとめ
では早速、この区分所有マンションの運営状況についてご説明していきましょう。
物件購入にかかる費用(物件価格と諸費用)
いま運営している区分所有マンションは、銀行の不動産投資ローンを利用して購入、諸費用は現金で用意して支払いました。
物件を購入する時点で賃貸中だったため、賃貸契約をそのまま引き継ぐかたちになりますので、購入時にリフォームはしていません。
賃貸中の不動産物件を購入するときは、必ず賃貸契約を引き継ぐことになりますし、基本的に内見はできませんので購入される場合はご注意ください。
不動産物件を購入する時は、物件自体の費用のほかに諸費用が色々必要になってきます。
具体的にどんな費用が必要になるのか、下の表にまとめてみました。これから購入する場合は、参考にしてみてください。
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項目 | 不動産投資ローン | 諸費用(現金) |
物件価格 | 1040万円 | 0万円 |
リフォーム費用 | 0万円 | 0万円 |
媒介手数料 | 0万円 | 20万円 |
登記費用・登録免許税 | 0万円 | 30万円 |
火災保険 | 0万円 | 10万円 |
住宅ローン関連諸費用 | 0万円 | 15万円 |
不動産取得税 | 0万円 | 15万円 |
その他 | 0万円 | 30万円 |
合計 | 1040万円 | 120万円 |
諸費用は、実際に物件を買ってみないとわかりずらいですが、登記費用や税金など思ったよりも金額が大きいです。これらの諸費用も購入前に計算したうえで利回りを計算しておかないといけません。
物件の利回りを計算する時は、諸費用も含めて計算しましょう!
2021年3月のキャッシュフロー
続いて、今月のキャッシュフローです。
賃貸契約している限りは、キャッシュフローはプラスになるようなローンの返済計画になっていますので、先月も予定通り+1.6万円でした。
契約は2年なので、更新のタイミングは少しドキドキします。次回も問題なく更新してくれることを願う限りです。
【通常月のキャッシュフロー】単位は万円です。
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項目 | 収入 | 支出 | 収支 |
受取賃料 | 10.0 | 0.0 | 10.0 |
ローン返済 | 0.0 | 6.2 | -6.2 |
管理費・修繕積立金 | 0.0 | 1.7 | -1.7 |
管理委託料 | 0.0 | 0.5 | -0.5 |
固定資産税 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
合計 | 10.0 | 8.4 | 1.6 |
通算キャッシュフロー
物件を購入した2016年5月から現在までのキャッシュフローを以下にまとめています。
実はこの物件、法人の社宅として借り上げしてもらっているので、購入時から今まで空室になることなく契約が継続していますので、途中でリフォームやクリーニングなどの持ち出しがありません。
これまで通算で+66.4万円のキャッシュフローとなっています。
【通算キャッシュフロー】※単位万円
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年間収支 | 収入 | 支出 | 収支 |
2016年 | 80 | 67.2 | 12.8 |
2017年 | 120 | 107.8 | 12.2 |
2018年 | 120 | 107.8 | 12.2 |
2019年 | 120 | 107.8 | 12.2 |
2020年 | 120 | 107.8 | 12.2 |
2021年 | 30 | 25.2 | 4.8 |
合計 | 590 | 523.6 | 66.4 |
2021年3月の運営実績の寸評
上の表の「管理委託料」にあるように、 不動産投資管理の業務は外部の業者に委託していますので、今月も特にやることはありませんでした。
【銀行ローン残債とキャッシュの回収について】
購入からもうすぐ5年が経ちます。
もう5年も経ったという気もしますが、まだ15年もローンが残っているともいえますので、複雑な心境です。
物件購入時に諸費用として支払った現金は、下の表のようにようやく半分ほど回収することができて、ローンも200万円弱くらい返済することができました。
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項目 | 累計 | 前月比 |
住宅ローン残債 | 856万円 | -3.3万円 |
購入時に投下した現金 | 120万円 | ±0万円 |
通算キャッシュフロー(回収済み現金) | 66.4万円 | +1.6万円 |
今後の運営としては、以下の2点を目指していきます。
- ローンの残債を減らすこと
- 購入時に投下したキャッシュを回収すること
ローンを完済する前に物件を手放すという選択肢もありますが、いまのところ売却する予定はないので、このまま諸費用の回収とローンの完済を目指してあと15年持ち続けるつもりでいます。
区分所有マンションを購入した後に必要になる費用には何がある?
不動産投資物件は、購入時はモチロンのこと購入後もいろいろな費用がかかります。
そういった費用を知っておかないと、いざ運営してみたら支出が多くて赤字になってしまったり、最悪の場合はキャッシュフローがマイナスになってローンの返済ができなくなるので、とても重要です。
定期的な支出(ランニングコスト)には何がある?
まずはランニングコストから確認していきましょう。毎年・毎月の支出なので固定費になります。
具体例として、いま運営中の区分所有マンションの場合を見てみましょう。
- 固定資産税(7万円/年)
- ローン返済(6.2万円/月)※約半分が元金返済、残りが利息
- マンションの物件管理費・修繕積立金(1.7万円/月)
- 賃貸の管理費(0.5円/月)
ざっと挙げるとこんな感じになります。それぞれについて、補足説明していきます。
【補足説明】
本物件の場合は、毎年支払う固定資産税が約7万円、毎月支払う他の支出が約7.2万円となります。合計すると年間107.8万円。
③の費用は、マンションの建物の維持・管理に使用されるもので、マンションを区分所有されているかたであれば、お馴染みの費用です。この物件管理費用は、マンションの管理組合を通じて、物件の管理業者に支払われます。清掃や点検など、主にマンションの維持管理に使用されます。
一方の修繕積立金は、住人から集められたものが管理組合に一旦プールされます。この積立金は、共用部分の修繕が発生したタイミングで業者に支払われます。
④の「賃貸の管理費」というのは、賃借人の管理にかかる費用のことで、不動産投資管理会社に支払います。一般的な相場は賃料の5%といわれていますが、不動産オーナーが自分で管理する場合は費用がかかりません。
マンションの維持費とローンの金利は、収益を圧迫する要因だね!
もちろん購入前に確認して収支をシミュレーションする必要があるよ!
不定期的な支出には何がある?
不動産投資には不定期な支出もたくさんあります。一般的には以下のような支出があります。
- 賃貸契約終了による空室期間の機会損失
- 契約終了後のクリーニング・修繕費用(経年劣化)
- 新規募集にともなく広告料等(不動産業者への支払い)
- マンションの専有部分の破損の修繕(例えば水道管など)
本物件では、購入から4年以上経過していますが、今のところ上に挙げたような不定期な支出はありません。こういった支出に備えて、毎月のプラスのキャッシュフローをプールしておかないといけません。
本物件の抱えるリスクとは?
さて、ここで問題です。
【問題】本物件はこれまで空室になっていませんが、実際に空室になるとどれくらいの損失になるでしょうか?
【答え】家賃に換算して約6か月分くらいの損失になります。たった一度でも空室になると、これまでの数年間の運営で回収したキャッシュが一気に吹き飛ぶというリスクを抱えています。
具体的に以下のような損失があります。
- 機会損失として家賃2か月(リフォームや募集中の空室)
- リフォーム費用として家賃2か月分(壁紙・クリーニング)
- 賃貸の媒介手数料として2か月
基本的に不動産物件はキャッシュフローに余裕があるものですが、この物件には余裕がないということがわかります。
物件の規模が小さいので大したことはありませんが、かんたんにキャッシュフローが焦げつくという点ではリスクの高い物件ということになります。
区分所有マンションを運営してみて学んだこと
本物件を含めて、区分所有マンションを3件運営してきましたが、区分所有マンションの賃貸事業の難しさを感じています。
ポイントを以下に挙げます。
- ランニングコストが高いので、キャッシュフローがプラスになりにくい
- 空室・満室が0か100かなので、たった1回の空室でキャッシュが吹き飛ぶ
- 物件の積算価値があるのでローン融資を引きやすい反面、金利が3%を超えると利益を出すのが難しくなる
- 物件を売却するかローンを完済するまで、トータルの収益がわからない
特に重要なのは、銀行の金利です。
サラリーマンのように定期的な収入があれば、区分所有マンションのローンは借りることができますが、借りるひとの資産背景によって金利は高くなります。
金利が3%を超えると利息返済のために運営しているような感覚になりますし、4%になると実際利益の多くは銀行に持っていかれていると考えて間違いありません。
▼区分所有マンションが失敗しやすい理由をこちらの記事で解説しています
今後の不動産投資の戦略
これまで試してきた区分所有マンションへの投資は、収益性のある物件選びが非常に難しいです。
そして、収益性の低い物件を購入してしまうと、最終的に売却するまでリスクを抱えたまま運営することになります。
わたしのこれまでの失敗経験を踏まえると、成功する可能性が高い不動産投資事業のひとつは、築古戸建て物件であると考えています。
- 維持費が低い築古戸建てを賃貸物件として購入する
- 物件を現金で購入するか、ローンの金利2.0%以下で借り入れる
- 賃貸管理業務を自分で行う
- リフォームも出来るところは自分で行う
以上のような方針で物件選びや運営をすれば、維持費を低く抑えることができるので、破綻リスクが小さい賃貸経営ができますので、今後もし不動産賃貸を拡大する場合は、選択肢は戸建てオンリーですね。
次に購入する物件は、中古の戸建て物件にするつもりだよ!!
▼中古の戸建てのメリットはこちらで解説しています
まとめ
不動産投資については、個人的にはあまりうまく運営できていないのですが、失敗して学んだことは良い経験になりました。
その結果として、不動産投資で成功するために必要となる条件や戦略も見えてきました。
ある程度のまとまった資金ができたら、上に書いたような方針に従ってまた不動産投資に挑戦したいと考えています。
よろしければ次回もぜひご覧ください。
▼ブログ管理人がおすすめする不動産投資「ヤドカリ投資法」については、以下の記事をご覧ください。